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MAISON GRAIN D'AILE のBlog・ART de ViVRE - アール・ド・ヴィーヴル - 暮らしの芸術。
琵琶湖のほとりに家を建て、暮らしています。試行錯誤しながらも絵になる風景、気持ち良い暮らしを目指して楽しみます。どうぞお楽しみに。

2016ART de ViVRE

December 3 , 2015

冬支度

本格的な冬を向かえる前にお気に入りの古いストーブを出し、メンテナンス&試運転をしました。写真の2台の古いストーブは、小さな電気ストーブはオランダで見つけた古いもの、石油ストーブは1950年代のもの。アラジンの黒いストーブもあるのですが、やはり古いものの方が雰囲気良く、よく使います。ストーブは黒色がクラシック、黒いストーブが好きで集めている。
今年の冬はこれとエアコンの併用で乗り切ろうと思います。エアコンはすぐ暖かくなるけれど暖かさの質が少し苦手なので灯油のストーブをメインで使います。
湖の家で冬を向かえるのは初めてです。去年の12月といえばまだ家は建設中、大工さんたちは夕方の4時には寒過ぎて作業が進まないため引き揚げていたのを思い出しました。

今年の冬は間に合わないけれど薪ストーブも導入したいので今から設置場所や機種などをじっくり検討します。大阪よりずっと寒いこの場所の冬を楽しもうと思います。
写真上、居住スペースの2階の窓は断熱性の高いペアガラスを採用したおかげで窓に近づいても全く冷気を感じません。
▶大阪では真冬でもこれで十分でしたが、湖の家の冬はどうだろうか?


November 26 , 2015

WHITE CUBE

今年の6月に湖の家に引っ越す前は、大阪のお店から自転車で10分ほどの所のマンションに住んでいました。
築30年の中古マンションを購入してリノベーションしました。
このマンションに住む前は賃貸のマンションに住んでいましたが、やはりリフォームなどの制約があり、思うような住処では無かったので理想の場所が見つかるまでの住まいとして好きに手をかけて住める所が必要でした。ここのマンションを手がける事によって自分たちにとっての心地良い家とは何なのか、気付きや学ぶ事が多かったと思います。
このマンションには3年住み、そして今年の6月には湖の家に引っ越す事が出来ました。マンションは住みたいという方にお貸しする事になりました。

壁と天井は白いペンキで塗り、本棚や靴箱は自作。キッチンはステンレスで一体型のものをデザインして特注で作ってもらいました。
照明は配線ダクトに床はカーペットとタイル張りで、ドアノブはフランスのアンティーク。スイッチはステンレスのものを組み合わせて作ってもらいました。
集合住宅ということでシンプルでモダンな雰囲気の内装に仕上げました。
ここはお店から10分という距離でありながら見晴らしもなかなか良く、夏には天神祭の花火が目の前に上がります。真東に位置しているため朝日は部屋全体を照らしてくれ、そういう自然の気持ち良さや見晴らしの良さが自分たちにとって思う以上に大切な要素だと気付かせてくれました。



October 22 , 2015

デッキ手すりの色仕上げ

先日出来上がったデッキから続く階段の手すりの色仕上げをしました。あれから1ヶ月半。鉄の表面にテクスチャーを出すために、風雨にさらしてあえてサビさせ、薄めた色をその上から塗装して仕上げました。自然の雰囲気を出すことによって周囲との調和をはかることはとても大事です。
1ヶ月半放っておいてできた質感は魅力的。これでようやく足場も撤収してもらえます。

▶去年パリのセーヌ川に掛かる橋で見た影に似たものができた。
このテラスで早速食事。ランタンを灯してテーブルと椅子を出して。


October 14 , 2015

スイスの古い自転車

家の近くには1軒の商店もないので、日用の買物はとなり町まで行かなければなりません。自転車で片道20分。まるで幼い頃に見た映画のように、山に囲まれ湖岸沿いを走る。まさかそんな暮らしをするとは想像もしませんでしたが、絵になる暮らし、とはとても気持ちの良いものなのだと気付きました。
そこで自転車にもぜひ凝りたいところ。写真は1944年製のスイスの重い自転車です。ヨーロッパの時代映画に出て来るような、ハンチングにツイードのジャケットを来た青年が使っているような雰囲気のある自転車。修理してメンテナンスをして使います。車と違い、シンプルな構造の自転車は何十年と経っても使えるのだからすごい。そして動力は人のちからというのも良い。多少時間や労力がかかってもお気に入りの自転車を揃えて毎日を心地良く過ごしたいのです。

October 10 , 2015

毎日のアート

湖にはいつもシラサギが数羽いて、その羽根なのだろうか、きれいな羽根が小石に混じっていました。良い感じの木材も落ちていて。適当に拾い集めて今日のアートができました。縛ったひもは草。きっといつか朽ちてばらばらになっても、今こうして自然物で楽しむことができることに満足する。これもArt de Vivre。

▶今年の3月に、栃木県益子の私設図書博物館の仕事をしていたとき、休憩中に裏山を散策して広い集めたアート。これはとても好きだったけど、実物はもうない。写真に収めておいて良かった。


October 6 , 2015

蛇口

昔の設計や写真などを参考にしながら、まるで工場の片隅にあるようなシンプルな蛇口を目指しデザインしました。むき出しの配管は無塗装の銅製で、古くからあるタイプの一文字のカランを取り付けて(右は水、左は温度設定されたお湯)、中央のアンティーク蛇口から出てくる仕組み。蛇口以外はもちろん新品の材料ですが、すぐに古びた雰囲気に馴染むようにあえて無塗装の材を使用することでバランス良く仕上がるように工夫しました。

蛇口は家の設えで重要視したいところ。いままで何度か改装の仕事をやってきて必ず一考すべきところのひとつです。

古い蛇口を付けることはそう難しくないのですが、劣化しているため水漏れがします。そのために水道屋さんは付けたがらないのです。
しかし今回水道を担当してくれた方、古い蛇口を付けることにためらいもなさそうで、写真の通り昔の設計のような工事も試行錯誤しながらやってくれました!
聞くと、「欧米人がやるような日曜大工風だ」と仰って笑っていました。

・アンティーク蛇口は現代で使用する際、中のゴムパッキンを取り替えれば一応使えますが、思わぬ箇所が劣化しているため水漏れがしたりします。

▲写真上/キッチンのシンクまわり。フランスの大きな格子窓の向こうにリビング・ダイニング。窓からは湖が見える。
▶バスルームの手洗い。イギリスのホーロー製の大きなベビーバスを設置。手洗いは大人二人が並んで使っても広々。


October 1 , 2015

「街道をゆく」司馬遼太郎

「近江」
というこのあわあわとした国名を口ずさむだけでもう、私には詩がはじまっているほど、この国が好きである。京や大和がモダン墓地のようなコンクリートの風景にコチコチに固められつつあるいま、近江の国はなお、雨の日は雨のふるさとであり、粉雪の降る日は川や湖までが粉雪のふるさとであるよう、においをのこしている。

この素晴らしい書き出しではじまるのは、司馬遼太郎著「街道をゆく」シリーズの第一巻、第一章。始まりの章を湖西という土地で始めるぐらいに、司馬遼太郎もこの土地がたいへんに好みだったようです。

「湖」、と聞いて心躍るのはとても感受性の強い人。詩や情緒、絵心を大切に生きている人。静けさに美しさを見出せる人。
この土地で生きることを選んだのは、美しい生活者でありたかったから。そこを目指して生きることで生み出せる仕事をしたかったから。
都会には都会の良さがあるのだけれど、わたしたちは都会でできる仕事、以外のものを見つけて生きたいと強く思った。そして、湖西に出会ったのです。
季節は変わり、夏から秋へ。
この夏はお店の改装に、大阪と東京での展覧会にと大忙しでしたが、僅かな休みには湖水浴と鮎釣りを楽しみました。
これからの季節は「街道をゆく」を参考に少し山の方にも眼を向け散策したいと思います。近隣の方の話では地元の人しか立ち入らないようなスポットもあるとか!
秋の景色、雪の降る美しい景色の中に、何を見出せるのか、楽しみです。

September 23 , 2015

デコレーション

写真左は3階の屋根裏部屋を2階から見上げたところ。細い階段に鉄製のシンプルな手すりにしました。実はこれは1900年頃の藤田嗣治が住んだフランスの家を参考にしました。藤田の家に対する愛情は計り知れなく、オマージュも込めてデザインしました。3階の踊り場は特に必要のなかったスペースですが、安全性を考慮して建築屋さんが考案したもの。こんなスペースがあるのが楽しい家の要素になるのではと思い、少し広めにとって椅子でも置けるぐらいのスペースにしました。手すりにぶら下げたのは集めている古い照明たち。これからの出番に備えて待機中。写真右の動物たちは以前タイに旅した時に買い集めたもの。革で出来ている大きな影絵に使うもののよう。
家の設えで最高に楽しい作業、デコレーションを少しずつ始めていきます

上に見える大きな丸太は、新築するときに京都の旧家の解体で譲り受けた立派なもの。これから100年もたせるためにあまり古過ぎてもだめなのだそう。長い丸太を2本必要とした為、何軒も解体現場をまわってようやく見つけました。

▶家のまわりにはたくさんの植物が自生しています。写真中左は野草のスミレ。あまりの可憐さに押し花と生け花に摘みました。
これから秋になるとは思えないほど華やかな色のイチジクとミョウガの甘酢漬けは、隣家が育てている自家製。野菜やフルーツはめったに買わないのだそう。羨ましいかぎり。そしていただいてばかり。
アンティークのガラス器があれば見た目にも美しく心躍ります。


September 10 , 2015

草を飾る

庭の草刈りをしていたら、とてもいい香りの草を見つけました。調べてみるとどうやらミントの一種のよう。
バジルのようなアップルのような香りが儚く感じられます。
形や雰囲気や香りが気に入れば、花でなくても良いと思う。雑草でもいい。むしろ、雑草を美しく飾ることができたら嬉しい。
お気に入りの大きな古いすり鉢に入れて。

September 5 , 2015

続・デッキと階段

約1ヶ月かけてデッキと階段に鉄製の手すりが付きました!
伝統的な手すり柱をデザイン化した鉄製の装飾プレートを作ってもらって、鉄屋さんは現場で溶接しながら設置していきます。階段は2段にひとつ装飾プレートを配置して、デッキの部分は目隠しのために多くプレートを配置してもらいました。
これからほんの少し黒っぽく色を入れて、最後錆び止め塗装をして仕上げていきます
デッキの面は湖と反対側の山側。夏は青々とした緑を眺め、冬は真っ白い雪山を目前に見ることができる。雄大な自然と共に生きてることを肌で感じられる嬉しい場所です。

デザインのバランスで大切だと思っていることのひとつに、対比の要素をうまく融合させること、というのがある。この家で言えば、端正でクールな印象のシンメトリーに対し、どこかしらかわいらしい要素のアシンメトリーをもってくること。単純に対比させたものを組み合わせても融合とは言えない。その辺の微妙なバランスが課題でありおもしろくもある。360度の角度から見た全体像を頭の中でイメージしてひとつの個体として仕上げていきます。

写真左→デッキ内部。思ったより広く使いやすそうなスペースに。
写真右→1800年代後半頃のフランスの集合住宅のデッキ。目指したのはこの雰囲気。


July 30 , 2015

デッキと階段

家の背面にはデッキと外階段と設置しました。
2階のキッチンに勝手口を設けデッキに出る事ができ、日常の勝手を1階フロアーや主玄関を通らずに済ませられるようにしたかったのです。
家の正面は湖に向かって窓をたくさん設け、背面は山からの吹き下ろしの風などのためにも閉鎖的にして、建物全体にコントラストを意識したデザインにしました。
1階の天井高が高いので外階段も長くなってしまうため、途中に踊り場を設けて、広めのデッキから続く階段もゆったりと幅をとり、これから階段手すりを付ければ出来上がりです。手すりは室内の階段手すりと同じデザインの鉄材で今作ってもらっているところです。

July 30 , 2015

日用品

夏の部屋履き用のスリッパを探していてもどうしても気に入るのが見つからないので、素敵な色と形の安価なビーチサンダルを買ってきてペイントしてみました。
同じく、どうしても気に入るのが見つからないサニタリーブラシ。こちらも手作りしてみました。ドイツのお掃除メーカーが出しているブラシのヘッド部分のみ購入して、家の前の湖で拾ってきた枯れた流木をセット。仕上げに防水にもなる黒いペンキを塗装して。なかなか良く仕上がったブラシに合わせたのは、以前買っておいたアンティークの銅製バケツ。気に入ったものは必ず買っておくことにしています。こんな風に用途がばっちり決まればとても嬉しい。
必要なものこそ妥協して揃えない。ないならないで暮らしてみるか、本当に必要で困った時にアイデアはでてくるもの。そうやって好きなもので暮らしの身の回りを整えていく喜びはひとしおです。

July 15 , 2015

古いソファ

こんな家にはこんなソファが似合うな、と思いフランスの100年ほど前の古いソファをいくつか新調しました。造りはしっかりとしていますが、カバーが取れて中の芯や生地がむき出しになっています。そこがとても雰囲気良くオブジェとしても楽しめます。これを陽に干したり、繕ったりして少しずつ補修していきます。
絵になる生活、Art de vivre とは例えばこんなこと。手の込んだ100年前の造作を、慈しみながら育てて使うこと。古いナイフを研いだり、欠けたガラスを磨いたり継いだり。

←家の前は湖。ここ避暑地も最近はすっかり夏らしく陽がさし快晴が続く。

June 29 , 2015

アトリエの照明

アトリエに照明を設置しました。天井とランプシェードの間にぶら下がっているのは、モンテベスと呼ばれるランプシェードの高さを調節するための昇降器具。写真右は1900年代初め頃のパリの研究室で使用されていた様子です。同じように私たちの家の1Fアトリエにも設置しました。
通常、天井の電気の根元には引っ掛けシーリングか配線ダクト(レール)というプラスチックのものを取り付けますが、やはり今回はアンティークのものが良かったので、磁器でできたシーリングを全ての天井の配線に使用しました。当分は使う予定のない箇所も、これだと美しい見た目を保つ事が出来ます。

その磁器のシーリングから電気コードを垂らして、昇降器具(モンテベス)を通ってまた天井に返って行き、ローラーを通りながらすとんと落ちてシェードが着く、という仕組み。モンテベスの中のおもりの量で高さ調節が可能になります。100年前に作られた磁器で出来た機械的なオブジェはとても魅力的です。
古い磁器の質感は美しく、シェードはミルクガラス。コードはコットンのツイストコードにして。
→右の写真は1F ホールに並んで設置した照明。磁器のシーリングからツイストコードを垂らしてアンティークソケットのみのシンプルなもの。ソケットやコードにこだわれば、電傘を付けなくても十分雰囲気があってきれいな空間がつくれます。
(全てMAISON GRAIN D'AILEのショップにて購入可能。)

June 21 , 2015

野菜を飾る

15日に湖の家に引っ越して来ました!
工事はまだまだ途中ですが、なんとか水道と電気が通ったので引っ越すことにしました。浴室のガラス戸は先日やっと付き、これからベランダ、外階段、外構工事と進んでいきます。
フランスからの荷物も1階のアトリエに全て届いたので、展覧会の準備をしながら、引越しの片付けに、家の工事の仕上げにと大忙しです。
そんな折り、お隣さんから自家製の野菜達をいただきました。継ぎの美しい木のこねばちに摘みたての野菜を飾って。さながら両手いっぱいのブーケのよう。夜はたくさんの野菜で夕食にしました。

長靴に手押し車のいでたちの農夫、湖には日がな一日釣り人、緑がいっぱい小鳥達は元気良く、波の音が聞こえる日々。
これからは住みながら、家の様子を書いていきます。

June 9 , 2015

スイッチ

約100年前のスイッチ。日本製でもフランス製でもそのデザインはあまり変わらなく、磁器と真鍮で出来ています。現代のプラスチック製のものに比べてやはり見た目の良さ、重厚感が違います。
この素敵なアンティークスイッチを主要な箇所に設置していただきました。家一軒分の照明やスイッチはとても多く、単純な配線から複雑な配線までさまざまです。このアンティークスイッチは複雑な箇所には向かないので、見た目の良いところを中心に単純な配線にしてもらい設置しました。
写真左はバスルームのスイッチ。扉を開けた通路に浴室の換気扇・照明用、バスルームの換気扇・照明用と4つ並んで設置しました。通路のその奥に広がる空間がバスルーム。

アンティークスイッチを使わない箇所は現代のものを使用することにしました。金属のプレートに金属のオンオフつまみが付いたトグルスイッチと呼ばれるもの。モダン住宅にはよく合うスイッチですが、このクラシックな家にもなかなか似合うと思います。

今まで自宅を建てた時の為にと使いたいパーツとしていろいろと集めてきました。
今回のフランス買付けでも探しまわり、好みの良い物が手に入りました。
そして一部はようやく取り付ける事ができ、中には使いたかったけれど次の機会に持ち越しのもの、住んでみて使えるかもしれないものなどたくさんあります。
そんなパーツを販売いたします。
スイッチやペンダントライトに良いソケットやアトリエランプ、ドアノブや建具、夢が広がる道具類が揃います。
みなさまこの機会にぜひお越し下さい。

「 BRICOLAGE 」
6/12 (Fri.)より MAISON GRAIN D'AILE にて

June 3 , 2015

階段が出来ました

1階から2階へかけての階段が出来ました。
鉄材で造り上げた手すりの印象的なモチーフは、ヨーロッパの手すり柱をデザイン化したもの。何度も線を書き直して美しい形を追求しました。影絵のような柱は独創的でアーティスティックですが、意外にもとても落ち着きがあり早くも空間に馴染んでずっと見ていても飽きないものになりましたこれから色目をもう少し黒に近づけていきコントラストを出して仕上げます。

階段上は3階までの吹き抜けで6mの高さがあり、細長い白い空間に正方形の小さな窓をひとつ設けて北の光が儚く差し込むようなイメージでデザインしました。

階段自体は床材のフランス産ホワイトオークをそのまま階段の材にも使用していただき、床と階段が一体化しています。この階段、良く見ると小口のところまで手の込んだ造作で仕上げてあり、これを表現してくれる職人達は現代では貴重な存在です。

そして階段下は収納スペースに。写真(↓)では下の方まで見えませんが上下逆にしたドアを十字架の様に見立ててノブは真鍮製の小さなものを上の方に取り付けました。

壁はやわらかな色目の白の漆喰。場所や光により変化する白い色。昔フランス人アーティストが「壁の白色は、卵の殻の色」と表現していたのを思い返して、美しいニュアンスのある白い壁を時々立ち止まって眺める。

ひとつずつ丹念に決めていったパーツが集まって、少しずつきれいな空間が出来上がっていく。まるでそれは一枚の絵のパズルのようでおもしろく、最後まで真剣に取り組み仕上げていきたいと思います。


May 28 , 2015

台所

約40日ぶりに湖の家へ行って来ました。いろいろな箇所の全貌が見えてきて、あともうひといき。再来週には引越しできるように最後の追い込みをがんばります。
写真はキッチンの一部。今回キッチンは床、壁面ともにモルタル仕上げにしてもらいました。この写真の状態から仕上げの色を入れてもう少し落ち着いた色目に仕上げていきます。モダンにならず、あくまでも牧歌的に、かつ田舎っぽくなりすぎずに。ガスや水道が発達していなかった時代の、ハーブの束や砂糖漬けの瓶などが並ぶ台所部屋をイメージしています。
ワークトップ、レンジフードともに造作で造ってもらいました。ワークトップには、業務用のシンク屋さんで特注したオリジナルデザインのシンクをビルトインにして、

コンロはドイツのAEG社のガラストップのIH。このIH、金属の枠がなく、黒くて、表記がシンプルなアルファベットのもの。このAEG社のものが一番格好良いのです。
そして悩んだレンジフード。アンティークバケツをひっくり返してフードにしようか、ブリキ屋さんで特注しようか、いろいろ考えましたが、1900年頃を舞台にしたフランス映画を参考にして昔の石造りのフードをイメージして造作して頂きました。
通路の奥に見えるのはなんと冷蔵庫の収納場所。昔からキッチンに冷蔵庫があるのがどうしても美しいと思えませんでした。アンティークの木の扉を開けて、冷蔵庫と少しだけストックできる場所を作り、雰囲気の良い台所部屋が出来上がりました。

写真左→外観が出来上がりました。湖の前に立ち並ぶ桜の大木が家の目の前に。2階の窓に届きそうなぐらい。外壁の色は美しく深いグレーの色。1階の大きな窓はアメリカで特注して造って頂いた木製掃き出し窓の観音開き。
写真右→敷地には野生の薬草、セリが盛りだくさん。建設会社の社長さんが摘んでいたものをおすそわけしていただきました。夜はセリ鍋、Art de Vivre。


April 22 , 2015

デルフトタイルのバスルーム

オランダでデルフトタイルに出会った10年近く前、手に入れた数枚のタイルを眺めていつかこのタイルをバスルームで使いたいと夢見ていました。
そしてついに念願かなって、浴室の床に1700年代のデルフトタイル110枚を敷き詰めることが出来ました。タイルの無い奥の方のスペースに置き型のホーロー製のバスタブを設置します。

写真左↓吹き抜けの天窓と化したドーマー。4m近く高いところにある窓を換気のためにどのように開閉するかがこれからの課題。
写真右↓全面モルタル張りの浴室。タイル床貼り作業中の風景。

バスルームは以前からヨーロッパ風に、いわゆる浴室っぽくないまるで部屋のような空間にしたいと思っていました。
バスルームの扉を開けると、洗面台、トイレ、浴室がある部屋になっており、浴室との仕切りを全面ガラス張りにして仕切りながらも全体をひとつの空間にしました。
さらに、ここは2階部分で、3階の屋根裏を吹き抜けにして天井高を広げ、観測所のような研究室のような雰囲気を創りました。

昨日21日から私たちはフランスに来ています。
出発の前日に朝から職人さんとタイルを貼る作業をしました。300年近く前のタイルはもちろん一枚ずつ大きさや厚みが違うので、私たちは色味の違うタイルをどんなレイアウトにするかを決めていき、職人さんは丁寧に一枚ずつ微調整しながら貼る作業を進めていただきました。

来月5月25日までのフランス滞在中は、フランス買付け滞在記録・期間限定Récit de voyage FRANCEにてブログを更新していきます。お楽しみにご覧下さい。


April 15 , 2015

玄関ドア

家の主要な出入り口となる玄関ドアは何か少し変わったものにしたいと思っていたところ、私たちの世界観のイメージにぴったりと合うドアに出会いました。
1800年代のイギリスで使われていたもので、高さ2m30cmの大きなドアです。
百葉箱や納屋を彷彿とさせるデザイン、大きさ。長い間風雨にさらされた木の枯れた風合いの上、節までも浮き出しまるで老木のようです。
玄関ドアはその家のタイプを決定づけるほど重要な箇所なので、ここで使用するドアのデザイン・雰囲気は慎重な選択です。この家の全体像を見る限り、一歩間違えば豪奢な別荘になりかねません。それをどうフランスの田舎家のように牧歌的にしていくか。それはドア選びから外壁の色味、窓に見えるカーテンなど細かな要素の集まりで決定されます。

この古いドアを取り付けるのに際して、ドア本体に中途半端に残った古く歪んだ蝶番も活かしたい、という私たちのわがままのため、専用の金具を鍛冶屋さんに作ってもらいました。その金具を現場で大きさを合わせながら削り出し微調整していく作業。また、隙間だらけのドアにどう気密をつけていくか。たくさんの技術と労力を費やしていただきました。

April 1 , 2015

階段

今回フローリングはフランス産のホワイトオークの無塗装仕上げにして、階段は床と一体化になるようにデザインしました(写真左)。フローリングと一続きの、踏み板・蹴込み・小口も同じ材料で造ってもらいました。これから壁面は白い漆喰仕上げになります。
階段のデザインはこの家のデザインの中でも慎重に考えたところのひとつです。階段のひとつひとつのディティールは思う以上の雰囲気を決定すると感じるからです。一般家庭住宅のデザインを払拭し、ただストイックなだけのモダンデザインに偏らず、イメージは、フランスの建築物にあるようなきれいな手の込んだ造作、そして古い雰囲気を醸し出すような温かみを持つ階段、100年経ってもかっこいい階段です。

そして階段の手すりのデザイン。モダン建築の中に伝統的なエッセンスを抽出して取り入れたデザインにしたいと思いました。
欧米建築に多様されているのは、デコラティブな装飾の施された木製のスピンドルが柱となった階段手すり。写真右は去年パリで撮影したそのスピンドルの陰です。橋の手すりの陰が地面に映っていたものを写真に収めていたものです。これがインスピレーションとなりました。手すり全体を板状の鉄材で作る事にして(色は黒)、陰絵のように見えるスピンドルを表現するデザインはどうだろう。
それからまたいろいろな古い建築物の資料を参考にして、スピンドルのデザインを決定していきます。
頭の中ではとてもヨーロッパらしい雰囲気、かつアーティスティックな階段が映像化されていて、実際設置されるのがとても楽しみな箇所となりました。

March 13 , 2015

アンティークドア

玄関ドアからはじまり勝手口ドア室内ドア、計12箇所のドア全てを、フランスとイギリスのアンティークドアにしました。
初めにドアのサイズとデザインで判断して購入しましたが、いざ付けるとなると左右の開きが決まっていたり、表裏のデザインが違っていたり、ラッチやノブの問題もあって、アンティークドアを使うにはいろいろな問題を解決していくのです。
また100年ほど経っているドアは反りや割れも数多くあり、それらを使うには丹念な修繕が必要です。無垢のドアは薄手に見えても相当な重さがあり堅い木材でできている堅牢なもの。重量があるのに繊細なアンティークドアを、大工さんたちと話し合いながらあの手この手で美しい修繕を施していくことも大切な作業です。

見た目にとても素敵なアンティークドア。これを活かしていくにはとても多くの労力と知恵と技術が必要です。そこまで出来るのは、やはり古い物を愛する気持ち、美しい空間を創りたいという研ぎ澄ました信念、これに尽きると思います。

今回建築をお願いした会社は、アメリカの洋館を作る会社。欧米人大工たちの影響を受けて、日本人の大工さんたちも私たちの自由な発想を受け入れて、その発想が実現出来るように技術を惜しまず共に造ってくれています。お互いの信頼関係で成り立つ作業ばかりで、内装は特にそれが顕著に現れるもの。慎重にひとつずつ進めていっています。

↑写真上と→写真左/お気に入りだけどぼろぼろなアンティークドアと修復作業。写真右/2Fリビングとキッチンの間の壁はフランスの古い工場で使われていた様な格子窓を入れて空間を仕切りながらも一体感を出しました。


March 7 , 2015

これから内装、ちょっと一休み

週に2度、家の打ち合わせに湖に行っています。行く度にドキドキして、そして穏やかな気持ちになります。少しずつここに住むのだという実感がわいてきました。
それにしても、いつ見ても美しい山と湖に感動。こんな自然の景色以上の豊かな仕事とは何だろう、と深く考えたり。

初めは家はもともと建っている家を改装したいと思い探していました。
古いものというのは、かけがえのない時間の結晶のようなもの。手を入れて素敵になるのならそれが一番いいと思っています。経年の古色というのがなんとも美しいと感じるのです。

今回私たちの家は有り難い事に自然の流れで新築となりましたが、フランスの古い家のように、この家も時間をかけて育てていきたいと思っています。

さて今週からいよいよ内装にとりかかります。壁には断熱材もぎっしり、パネルも貼り終わった様子。壁の仕上げに取りかかる前に、フローリングを貼るのだそう。今週はその様子が見られるのか、期待がふくらみます。

February 19 , 2015

グレイッシュな風景に似合う家を目指して

湖と山に挟まれるように建ち並ぶ別荘地。私たちのこの家も調和を考えながらも、さらに素敵な景色の追い風になれるような存在であってほしいと思いデザインしています。

独特な空気感のこの湖の土地。まるでヨーロッパの郊外のような雰囲気で、全体が静けさを持ち、けれど決して“田舎”とは呼べない感じは別荘地だからというだけではないような気がします。
この辺りは景観法という規則があり、建物は華美な色が使えず制限されています。制限した色、それは MAISON GRAIN D'AILEのコンセプトと同じ。きっとその法則も私たちがここを美しいと思う理由のひとつなのかもしれません。

そこで考えたいのが建物の色をどうするか。
現状は写真の通り、外壁にシートが被せられた状態ですがこうして見るとだいたいこんな感じのグレーの色彩が良いのではと思います。さて、ここからが肝心なポイント。グレーといってもトーンの違いや色味の違いがあり、これだけの面積を彩る色ですから、少しの色味の違いでだいぶ雰囲気が変わってしまいます。
目指すは、美しく、端正で、調和のある色。
外壁はモルタル(コンクリート)吹き付け仕上げを予定しているので雰囲気は石造りのようなイメージです。自然の石の色をカラーで表現することは技術とセンスが必要になる仕事。これから色を作ってくれる職人さんと共に形作っていきます。

February 5 , 2015

窓とドア

2階部分とドーマーに窓が入りました。写真は寝室にあるドーマー。
2階は生活の拠点であるため気密性の高いものを採用し、湖の景色を楽しめるように視界を遮る格子は入れず1枚のガラスで出来るだけ大きくデザインしました。
1階のアトリエスペースは雰囲気を優先しオーダーの木製ドアを製作中、玄関や室内ドアは全てアンティークのドアを使います。
生活の用途に合わせて選び、全体のバランスを整えて心地良い住まいを目指します。

January 27 , 2015

太陽光でオール自家発電

前々から家を持ったら自家発電にしたいと思っていました。
災害のときも自家発電だと電気が使えるメリットもあるし、そもそも供給電力に頼らない、自然の力で発生できる電気を使うことはとても有意義なことだと思うからです。
湖の反対の山側の片側屋根にいっぱいの発電パネルを付けると、7キロの電気を発電できるそう。これはこの家1軒分の電気を全てまかなうことができるだけでなく、余った電気は売ることができる量に値します。
また、この場所は都市ガスがきてなくガスを使おうと思ったらプロパンガスになってしまいます。結局オール電化がスマートだし、希望通り自家発電の家を作ることができました。
最初に数百万円かかり決して安くはありませんが、エネルギー的に自立しているということは私たちにとっても地球にとってもおおいに意味のあることだと考えています。

January 23 , 2015

家の外観全体図

MAISON GRAIN D'AILE の家をふたりで一からデザインしました。
目の前が湖なのでもちろん家は湖に向かって建てることにしました。湖に向かう家の形、イメージしながら全体像を形にしていく。私たちが空間をデザインする時に大切にしているのは、昔からそこにあるように環境と調和していながらもきらっと光る存在であること、西洋建築を取り入れながらも過度になり過ぎない事、温かみと安心感が持て落ち着く場所であること。これらが全ての基礎で、この上にデザインを積んでいきます。
18世紀頃のフランスの建物や家を調べたり写真集などを資料として参考にしながら、あの場所に何が建っていたらかっこ良く、美しく、端正だろう、

とイメージしていくと、なんとなく古い工場のようなひっそりとしたある種退廃的さもある建物が見えてきました。
さらに敷地100坪に対して建ぺい率が20%、容積率が60%という基準を満たすには最大で20坪の3階建てとなる。となると、20坪をきれいに取るとやはりきれいな長方形となる。長方形の2階建てか3階建て、ただの3階建てではおもしろくないので、2階+屋根裏にしようかなと、家全体が見えてきました。
図のとおり、1階2階と規則的な窓が大きく配してあるのは伝統的な西洋建築の仕様です。屋根は規定により三角屋根です(このエリアは景観法により建物に対して様々な規定がある)。屋根にドーマー(屋根から出ている窓)を付けることになったのは、ここが屋根裏部屋となり、容積と採光を確保したかったからです。今まではドーマーは装飾的なものというイメージがあったし、まさか自分の家にドーマーを付ける事になるとは思ってもみませんでしたが、なるほど本来は容積と採光を考えた結果の、昔からあるデザインにはやはり理由があったのです。

最初のイメージを守って貫いて行くのもひとつのデザインです。ですが今回私たちは流れにまかせて、いろいろな規定や出来る事出来ない事を含みながら、その都度イメージし、端正な形にもっていくという作業を繰り返しました。するとこんな家の形が出来上がり、それは結果的にとてもフランスらしい家となり、今となってはなぜこの結果になったのか覚えていないぐらい自然な流れでした。

January 8 , 2015

湖畔の散策

湖の浜際も、海と同じく石や砂が美しく続いています。
先日湖畔を散策していたところ、小さな動物の骨をみつけました。草木の陰でひっそりと息絶え、自然に風化されていく風景。

December 29 , 2014

秋に地鎮祭を行ないました

一から御世話になっている不動産屋さんと建設屋さんの有り難いご配慮で、近くの神社の宮司さんに新築の事始めの地鎮祭を行なっていただきました。

白い紙の紙垂とか紙吹雪とかきれいだな、と思いながら土地の神様にご挨拶と今後の無事を祈ります。

ここにいると、高い次元へ引き上げられるように感じる。これからやりたいこと、集中したい事、そんな全てのことを見直すことが出来る気がする。ここに来るたび、心が洗われていく。そんな場所です。

December 29 , 2014

湖に住む

MAISON GRAIN D'AILE の目指すもの、それは「美しい世界」。展覧会やショップはもちろんのこと、いつもどんな風にどんな角度からその世界を表現できるか、ということを考えています。
「美しい暮らし」
そのこともずっと大切にしていて、日々の食卓から室内の装飾、道具にいたるまで私たちはどんなことにも美しいこと気持ち良いことを目指し選択したいと思っています。
フランスへの買付け時には毎回1ヶ月間パリで暮らしますが、日本へ帰国する時にいつも思うのが、フランスに住んでいても帰りたくなる美しく暮らせる家がほしい、ということでした。

そして、5年間探し続けてやっと理想の場所を見つけました。
それは日本で最も大きな古代湖、琵琶湖。湖国と呼ばれる美しい場所。絵になる場所。

2015年の春より、私たちは湖に住みます。
有り難い事にご縁があって、湖のほとりにMAISON GRAIN D'AILE の家を建てることになりました。
15年の集大成であり、これからの出発点。その先にあるもっと素晴らしい仕事を、美しい世界を今後は皆様にお届けしたいと思います。
どうぞこれからもMAISON GRAIN D'AILE をよろしくお願い申し上げます。

家作りの様子や暮らしの様子をブログでご紹介してまいります。

2016ART de ViVRE